魔法の小瓶
三田九郎

デスクに透明な小瓶を置いて
飴玉を入れて
口に放る
ため息がこぼれそうなとき
舌打ちしそうなとき
くたびれたとき
暇なとき
忙しすぎるとき
話題のないとき
何も考えていないとき
考えすぎたとき

小瓶を見つけた人が
足を止め 声をかける
好きなのおひとつ
ふと 笑みがこぼれ
ひとこと
ふたこと こぼれ
口に放る
僕も放る
小瓶の蓋を開ける
閉じる
心が鳴る
音がする


自由詩 魔法の小瓶 Copyright 三田九郎 2013-04-11 05:41:28
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