世界一短い物語
アラガイs


なにものでもないわたしがこの世界に触れるとき、すでにからだは腐りはじめる 。
あなた方の意味のない欲望の為に、吐き出されると同時に無理やり死を宣告させられるのだ 。
それでも小さな遺伝子の塊にすぎないこのわたしは数億の記憶を伴い地上をさまよっていた 。
汚物として処理される物質が、この世界のありとあらゆる生命に拉致され変異し、享楽と秩序の様々な形態を食べつくす。
あるものは濾過を遮断する酵母よ
断末魔の叫び
テリアに消失されたものの煌めき
それはあなた方がこの世界ではけっして味わえないような瞬間の綻びをも体験する 。
生まれながらにして消えてゆくものの、天と地に二分された無常の喜びを知る 。
なにものにもなれなかったわたしが、こうして永遠の闇に帰属してゆく 。












自由詩 世界一短い物語 Copyright アラガイs 2013-04-08 14:44:33
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