ヒカリ
佐藤伊織

やあ、



俺だ、俺だよ

最近は元気でやってるか?



あの頃から

なんにも変わってないよ

津波で沢山人が死んだし

あの頃も

沢山人が死んだしね



覚えてる?
いつだってテレビはヒカッっていた



西へ拡散していたのは

灰じゃなくて

目に見えない



あのテレビのヒカリは

沢山の人が

ただ

ありのままに



だからあの夜

おれたちは別々の

小さな部屋で

ゴミが腐ったような

匂いの

靄に包まれて



あの真っ白にヒカッている

たくさんの死体をみていた



なにも変わらないじゃないか?





なにも変わってないんだ。





自由詩 ヒカリ Copyright 佐藤伊織 2013-04-06 01:56:43
notebook Home