罰かこれ(深海の太陽)
竜門勇気


三十を越えて旅するものは詩人
寒気に絶望を見出すもの
寂しさに震えているのだと
自分を騙して
三十を越えてまだ望んで愚かでいるものは詩人

雪降れば頭振り
雨落ちれば睫毛濡らし
人の言葉がわからなくなっていく
人との付き合いがぎこちなくなっていく
ただの言葉に意味と思索を探してしまう
目つきはうつろになり
返す言葉はおぼろのよう
詩人の罪は無い
誰も詩人には罪をくれない
言葉は泳げず溺れ
返す言葉は虚ろの世界の方法で伸びる

奴は白痴よ
もぬけの殻よと
思考する歯車は
居場所がない

音を見ようと目を回し
風景を聴こうとうつむいて
詩人の病は深くなる
深海の希薄な砂に手をさして
背に太陽を感じている
その妄想を確かにするために
決死にうつむいた首を凍らせている

なんてな
誰ともわかりあえない
誰もわかってくれない
上手くやれないのは
三十を過ぎたからでも
詩人を自称したからでもねーよ
ダメ人間だからだ
自分のダメさを
受け入れちまったからだ
自分の嘘に騙されて
ついに自分の奴隷になっちまったからだ
深海の太陽は
ただの毒だ



自由詩 罰かこれ(深海の太陽) Copyright 竜門勇気 2013-04-05 09:56:38
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