待っていると
Lucy

風は確かに冷たいのに
午後の陽のぬくもりが
耳に触れた

除雪作業が終わった後の雪道は
目を開けていられないほど
強い白さだ
瞼の隙間で青空も霞む

静けさをカラスが横切っていく
羽音を響かせて
コナイヨと
断言するように

細長く伸びた影も笑う
イツマデマッテモ・・

とうとう来ないのだろうかと
寂しくなってしまうころ

遠くの曲がり角から姿を現し
ゆっくりとこちらをむく
大きな猫の顔のような
春のバス



             ー「蒼原」91号 (2012年、春)ー


自由詩 待っていると Copyright Lucy 2013-04-04 14:13:57
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