今日の頭の中のカオス(混乱)
木原東子
今日の頭の中のカオス(混乱) 群青課題詩「準」
1
わたしたちは
準備万端整えて
すべてはその刻へ
父や弟や息子が
先に行った道
その入り口を
何とかうまく通り過ぎ
その後は何があるかは知らず
信じることはできても不可知
恐らく意識は無となり
死体は元素に解体されていく
時を経てあるいは何かに吸収される
そのくり返し
しかし科学は進む
好奇心は決して止まない!
2
私と言う一個人を無視しよう
さすれば根本の法則はもうすでにわかっている
有り難いことに
物質がエネルギーからぽいと生まれて
偶然にわずかに残ってしまう
その後は原子の自己組織化
単純な数式のフィードバックにより
無限につらなる複雑鏡像の中から
ふとずれが生じる
予測不可能生(カオス)が生じる
結局 淘汰がおこる
進化がおこる
3
ビッグバンという量子学的事件がおこった時
真空のエネルギーが不確定性のゆらぎを示した時
「無」と区別できぬ程のものが
いくつか凝縮され
狂気のように回転しながら
恐ろしい力で引き付け合ったのだ
やっとできた水素という元素 最も軽い
ヘリウム 原子番号2 次に軽い
化学的に不活性 なのに無理矢理核融合
ふたつの元素だけからなる
最初の星、青い巨人
生まれてそして輝いて そして死の大爆発だ
粉々の雲の中には 鉄にいたるすべての原子
これで 物質宇宙が準備された
人間までの
人間なんてちっぽけだが 思いを馳せる能力はある
欲に目も眩み金を欲しがる
核を手段にしてでも
その後とりわけ大きな星が
超新星爆発を起こした時に
金や放射性物質が出来たせいで?
4
おおよそ了解
見取り図はできた
面白くも意外
それで疑問は氷解かっていうとそうでもない
数パーセント物質 あとは無
原子の中もほとんど無
壮大すぎる無の世界
おおーい 誰もいないのかい
人間の叫びは届かないのだろう
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