迷宮
ベンジャミン

一度降りたら乗り込めない通勤快速
今日も僕は力負けしてドアの外
入口付近の乗客が寂しげにたたずむ僕を見送ってくれる

  さようならみなさん
  僕は今日も迷宮を歩きます

そうなんです、僕の隣りには思いつめたサラリーマンがいて
進入してくる電車に吸い込まれそうでした
とっさに体を入れ替えた僕はホームに転落
万事休すと思ったら、運良く電車とホームの間にはさまりました
奇跡的に怪我もない僕は、拍手に包まれて引き上げられました

  今日はこれでいこうと思います
  そろそろ迷宮の出口が見えてきました

8分の早業で遅刻の言い訳を詩にした僕は
次の通勤快速に乗るための戦闘態勢に移行します




自由詩 迷宮 Copyright ベンジャミン 2004-12-27 04:24:27
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