山手ドルフィン
……とある蛙

レストランのウィンドウ越しに見える殺風景
横浜根岸の崖の上
そこから見下ろす港の様子
コンテナ船が往き来して、
その陸揚げ作業がのぞき見られる
行き交う大型コンテナトラック
夥しい数のコンテナが横浜港の実景だ

そこからは遙か遠方にリゾート地域
三浦半島が見えるわけもなく
見えるものは薄汚い艀とコンテナ船
今ババロワを食べながら
眺める景色にユーミンは無く
ソーダ水を頼む訳もない

経営者は変わり
あの歌目当てに来る者は
青春を懐かしむ爺婆と
ユーミン好きを少々
善良なビジターたちのビターな午後

しかし彼らに
この殺風景は見えない
いやこの殺風景は見ないのだろう
彼らの眼には港の遙か彼方
外国航路の船が見え、
白い帆を張るヨットが見える
青の午後のように昔の貨物船が見え
時間のカーテン越しに想い出が見える

あり得ない風景だと気づくのに
四〇年を費やした彼らだ
今さら景色が違うと
暴動を起こすわけもなく
昔語りで過ぎてゆく

海が見える午後

※なお、ココは根岸で山手ではない。ユーミンは八王子の娘で多摩美出身
JR相模線には詳しいかもー僕は熱心ではないけどファンです。


自由詩 山手ドルフィン Copyright ……とある蛙 2013-04-02 12:38:00
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