いつも君だけが正しい。
瓜田タカヤ

休みの日前。午前七時位まで調子に乗って起きていた。
かみさんが俺の休みなのを知って、娘のカイリ保育園を休ませた。

午前中にカイリが起きて騒ぎまくっていた。
俺は眠くて機嫌が悪く布団からカイリにうるさいよ!と怒った。
人生の終わりのように、泣き出すカイリ。それをなだめるかみさん。
俺はちょっと都合が悪かったと思いながらそのまま
又眠りに着いた。

起きたら午後一時を回っていて、かみさんら家族は居なかった。
俺は起きてタバコを吸って、おにぎりを作り、肉を焼き、
漬物を出してきて、弁当箱に詰めた。

犬のタオを連れて、タオと俺とで山にピクニックに行った。
タオを外に出しっぱなしにし、俺は車内で弁当を食べながら
コーヒーを飲み、本を読んだ。

家に着くともう夕方五時半を回っていた。
かみさんらは実家に遊びに行っていたようであった。
カイリはおじゃるまるのテレビをダラダラと見ていた。

居間の畳を四畳高く設置してある板の隙間に、収納の箱が欲しくて
メジャーで測り、丁度良い大きさを探しにカイリと
ダイソーの100円ショップへ行った。

国道のラセラ内駐車場の45度はあるであろう急な傾斜を
のぼり、屋上駐車場へたどり着くと一緒に車降りた。

カイリと一緒に色々探すも、どれも中途半端な大きさの箱で
なかなか見つからない、広大な敷地をテキトーに一通り回ってすぐにあきらめた。

そもそも箱を入れる空間自体、かみさんが作ったオリジナルの空間なので
サイズが中途半端なのであった。

結局、キティーチャンの砂絵を作るのと、どうしても種のわからない手品(家に帰って
種を見たらめちゃくちゃくだらなかった)とキティーちゃんのシールとか
意味の無いものを購入してダイソーを後にした。

そのまま久しぶりに一緒にビデオを借りに行った。
カイリは最近好きになったらしい
ピングーのビデオを時間をかけてやっと借りた。

もう外は暗く、風は冷たい。
夜自体の空気が冷たいのだ。
俺が長時間ビデオを選びまくるカイリに少しいらいらしていて、
車内でタバコを吸った。

カイリはタバコ臭い!と鼻を押さえたので
俺はごめんといって、タバコを消し、自分の側と助手席の窓を開けた。
すぐに締めようと思ったのだけど、子供が外の景色と
ガラスを隔てない光景が新鮮だったのか、締めようとすると怒る。

風邪引くから締めるよといっても彼女はきゃっきゃとはしゃぐばかりだ。
カイリは借りてきたピングーのビデオを見ながら言った。
「ピングーは悪い子だよねえ」といつものテンションで言った。

俺がピンぐーは悪い子じゃないでしょ。と言うと
彼女は、さも当然の事を確認するかのように
「だってピングーは妹のピンガ寝ている時に、うるさくして
 ピンガ起きちゃうんだよ。」といった。

買ったままホルダーに刺さりっぱなしの冷めたコーヒーを少し飲んで
「パパいつでもカイリと遊んであげられるんだからね。」と言った。

青森の理不尽な冷たい風が、水色のトレーナー内隙間から入り込んでくる。
窓が開け放たれた車内のまま、家路までタイヤを滑らせた。

俺は知っている。
常にぴったりの箱のサイズが無いことを。
それは既存のもので当てはめることが出来ないことを。

自分で作り出した空間を埋めるものは
自分で作り出した箱でなければならないのだ。

無いものは探さない。
作り出せばいいんだ。

いつも
君だけが正しい。


散文(批評随筆小説等) いつも君だけが正しい。 Copyright 瓜田タカヤ 2004-12-27 03:25:09
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