政治家劇場 春場所
salco

岩手県内某所 事務所

小沢先生 「なに、後援会が三人になった?」
公設第一秘書 「なにぶん、権益が震災復興に集中してしまい…」
小沢先生 「決断の時至れりということだな」
公設第一秘書 「いえいえ、国政はまだまだ先生のお力を…」
小沢先生 「大塚美容外科に予約を入れなさい」
公設第一秘書 「はっ?」
小沢先生 「うむ、切開法だ」



麻生邸居間 半世紀前

母堂 「おや、一郎太。何だか目つきが悪いよ。まさかお前、漫画本の読み過ぎじゃないだろうね」
一郎太 「そんなことありませんよ、お母さん」
母堂 「そうかい? それにお前、口がこう、片側ちょいと曲がってやしないかい」
一郎太 「そんなことありませんよ、お母さん」
母堂 「親の目を節穴とでもお思いかい。何だろうねこの子は、ちょいと見ない内にすっかりニヒルになって」
一郎太 「そんなことありませんよ、お母さん」
母堂 「お前まさか、毎朝ミミズにお小水とか唾吐いたりしてやいないだろうね」
一郎太 「そんなことありませんよ、お母さん。それにここじゃありませんよ、曲がったのは」



目白の仏間

田中先生 「認めません。何が何でもあたくしは認めませんから南無阿弥陀仏」
尊父之霊 「磨家ちゃん。マそのぉ〜、わしは働かざるを得んかったがね。教育の機会ちゅーのは国民にとってだね。滅法大事な財産じゃないかと思うがね」
田中先生 「例えますれば、あたくしの父は家庭の事情がございましたけれども、それは優秀な頭でございましたから、一国の総理大臣にまでなったわけでご
      ざいますけれども。この少子化に大学を新設する意味、学歴が四年間の空白に等しいという評価を受けるのに学生が集まると見込む根拠。この二
      点の所在を学校法人に明示して頂かない限り、補助金を出すわけには参りません」
尊父之霊 「マ〜しかしね、元を辿れば税金だからね。万遍なく分配せにゃなるまいよ、磨家ちゃん」
田中先生 「こんな無駄は今の経済状況を鑑みればあなた、認可できる道理がございませんよあたくし文部科学大臣として南無阿弥陀仏」
尊父之霊 「マ〜そのぉ〜、結論から言うとだ。優秀でない者ほど教育が必要じゃないのかね。箱モノに乗せて道筋をつけてやる、ちゅー事だ。わしはマこの
      ぉ〜、土木と交通が得意分野だったもんだから。右肩上がりのだね、無尽蔵の歳入をそのぉ〜、地盤を中心として全国へばら撒いてだね。ここは
      ひとつ我が国の未来を明るく豊かに、マ地盤を中心として平等に開発して地上げして行こうじゃないかと。マこのぉ〜、通産大臣として正論をぶ
      ち上げたんだね」
田中先生 「…一生懸命やってるんですけどね(落涙)。父もあたくしも、“みんな寝返る”とか“シーザーがブルータス”とか、永狸町の定説は身をもって
      経験いたしましたけれども。官僚ごときが大臣の足を引っ張る、今の国政の形はいかがなものでしょうか」
尊父之霊 「マそのぉ〜、驕れる者は久しからずとは言ったもんだがね。ずいぶんと便宜を図ってやった奴も、咽元過ぎれば恩義を忘れるというかな。わしの
      天下も終わったという証でもあったが」
田中先生 「まあそれは愚痴に聞こえますでしょうからやめて置きますけれども」
尊父之霊 「しかし官僚なんてものはね。やりたいようにやらせて置けば手の平は返さんものだ。マせいぜい飼料を詰め込んでやってだね、何十年なりと反芻
      させて置けばいい。発破なんぞで連中の牙城を揺るがせてはいかんのだ。誰だって自分が一番かわいいからな。磨家ちゃんはマこのぉ〜、一本気
      ちゅーか短気ちゅーか。何かと胸の内をさらけ出してしまう。懐が浅くてはな、腹芸も糞もでけんぞ」
田中先生 「とにかく、予算が温泉みたいに湧き出た時代とは違いますから。全く、あんなお金は一体、無用の土地開発やダム乱造、無意味な道路や採算の取
      れない新幹線以外はどこに消……ハッ! この土地家屋ニシキゴイ書画骨董別荘オーダーメイドのお洋服お小遣いアメリカ留学都の西北。婿養子
      のパパにロッキードコーチャン児玉拠資男小佐野券児パンダのラメラメ・カメカメ、保釈金。原発ふるさと創生リタイア官僚保養法人政党交付金
      小選挙区省庁乱造、首相官邸議員宿舎新築あたくしども夫婦の議員歳費に議員年金! …南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


散文(批評随筆小説等) 政治家劇場 春場所 Copyright salco 2013-03-31 23:35:46
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