上昇水流
霜天

一つではない音が
低空で飛行して
私まで押し上げていく
地面すれすれの
振り返れない朝は
きっと、昨日の
覚めない夢を残したまま


ここは水の集まる
ような、そんな場所
沈んでいく音
投げられた言葉
届かなければ
際にたまってしまうので
遠くからきた人も
荷物をここに沈めて
水かさは少しずつ
飲み込んでいきます、街


音が集まって
雨の音、風の、人の、物体の、点の、ひとつの
降り注ぎます
あまりのことに、耳をふさぐと
沈んでいた言葉が、はじけて
飛行していきます、あちらこちらへ
そのうちのいくつかを拾い集めて
手紙に貼り付けると
私は引出しの奥に
そっと仕舞うのです

最後に際の水が
爆発して昇っていきます
空へ、空へ
残された荷物を回収して
降ってきた言葉をもう一度
届けるために
乾ききった街から
道の繋がりを


地面すれすれの朝が
最後に見た夢を思い出そうとする頃
引出しの奥から手紙を取り出して
玄関の扉、を
開放する


自由詩 上昇水流 Copyright 霜天 2004-12-27 02:16:42
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
四文字熟語