川という女
そらの珊瑚

もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている

 
さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯えているだろう
さかな 右往左往しているだろう
さかな 砂を吐き出しているだろう

さかな わたしを恨んでいるだろう



それでも
わたしは孕む
川べりを這うようにして
かずらが
みもだえしいしい 
幾本も
巻きつき
からまり
命へつながっている
あれは
わたしの臍帯

いつ
産み月が
来るとも知らされず
川という女が
みごもっている


*「詩と思想」(読者投稿作品)2013年8月号にて入選した作品です。
 選者小川英晴氏から「ポエジーが生動していない」という
 とても有難い批評をいただきました。これからの詩作の目標にしていきたいです。


自由詩 川という女 Copyright そらの珊瑚 2013-03-30 07:25:02
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