8
平井容子


夏の立駐で
宙づりのア・ウェア

温度といい
風といい

リネンの海で
かわいく葬って
また、次
こそげおちていく
応じている
わたしたち

かそ
かすか
かすがい
かすかな
かなきり
変なポーズで
山が
峯が
心で冷え固まっている
写真を撮りにきたひと
壊すひと
もくろむ人
みな拡大されて
いつかなにかを吸うことになる
黒い穴
どこへでも通じうる
眼孔・・・・・・・

汗びっしょりで目覚める
夏の立駐でア・ウェア

葬儀には特有の
時間と磁場があり
そこはベッド
変なポーズで倒れている
物と物とを
つなぐ
視神経細胞状の行為
吸いだされて
痛くてたまらないという顔
気づくんだけど忘れてしまう
帰ったひとが戻ってきて
口から釣り糸を垂らす
真夏の立駐から
許しの手
伸びきった薄墨色の空に
花びら
ア・ウェア
目覚めてもなお
たまらなく眠っている




自由詩 8 Copyright 平井容子 2013-03-27 12:27:09
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