淀のワルキューレは
平瀬たかのり

 この世のありとある戦場、天空には
 女神ワルキューレが舞っていて
 いのち落とした戦士を
 黄泉の国まで導き連れていく
 そういうことにしておこう
 
 祝福の象徴を名に持っていたが
 与えられたのは
 東からの刺客
 なんてぶっそうなあだ名
 その小さな黒鹿毛は
 淀の競馬場でこそ
 ひたむきに走り
 あだ名に違わぬ仕事を果たし
 その名にふさわしい復活をした

 だから淀のワルキューレは
 小さな黒鹿毛を欲しいと思った
 だからあの日第三コーナーで
 その背に飛び乗った

 彼女は
 わがままな京美人の笑みを浮かべ
 今も天馬を駆っている
 みずからにも翼があるくせに

 そういうことにしておこう

         (ライスシャワー)




自由詩 淀のワルキューレは Copyright 平瀬たかのり 2013-03-26 14:44:19
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