春だってのに
石田とわ




     きみはなんて意地悪なんだ
     今日だしたばかりの春物の上着を
     嘲笑うかのように引っ張るなんて
     あぁ、きみが気分屋のお天気屋だってことは
     じゅうぶん承知しているさ
     だけどみんなきみがくるのを待っていたんだ
     それなのにきみは桜の花は散らしてしまうし
     仕事帰りで疲れているのに上着を引っ張るし
     まったく3月終わりにもなってさすがに冬物も
     着ていられないじゃないか
     花粉だけはちゃんとつれてくるのに
     どうして庭のクロッカスを咲かせてくれないんだ
     いいかげん、ちゃんと春の仕事をしてくれよ
     あぁ、寒かった








自由詩 春だってのに Copyright 石田とわ 2013-03-26 04:13:58
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