春に秋を思う色情的視点
ドクダミ五十号


色情的世界

手当り次第に犯す

肉体も精神も

欲望に果ては無い

ついでに慎ましさも無い


一応は平和を唱えるが

道端で絶望しながら

今を生きている人には

届きはしない



色情は暴力的に奪う

快感と云うかたちで

滑稽な動作と

痴呆に似た絶頂の表情で

当たり前の様に


だからと言って否定はしない

誰もが陥る原始回帰なのだから

然しながら徹底的な肯定もしない

欲望に無抵抗でいるのは危険だから


一見すると

汲めども尽きぬ深井戸も

終には枯れが訪れる

それが怖いと思っても


本当の恐怖はそれ

事実を認めない色情的視点なのだ



残り火はとろゝと灰の内側で

眠る様にあれば充分なのかもしれないと

思い始めると生きとし生ける者は

晩秋へと一歩踏み出したと言って良いかもしれない

美しく枯れゆく事の実りへと


自由詩 春に秋を思う色情的視点 Copyright ドクダミ五十号 2013-03-26 00:15:32
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