草野春心



  筏を組み上げて
  稲穂の海へと浮かべる
  あなたの両眼にはいつも
  息をのむほど静かな炎が灯っている
  風が吹いて黄金の波が揺れる
  考えていたことを忘れてしまう
  思っていたことが消えてしまう
  丸太が湿った匂いを放つ
  筏に僕は腰を下ろして
  あなたのうたう歌が飛沫をあげて
  水底に落ちてゆくのを見つめている




自由詩Copyright 草野春心 2013-03-25 00:08:10
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