let the good times roll.
一 二

俺はカワサキが好きだ
俺のお父さんもカワサキが好きだ
俺のおじさんもカワサキが好きだ

お父さんはZ1が好きだった
家族のように愛していたZ1を
家族の為に
身を切るような思いで
Z1を売った

おじさんはカワサキの
フラッグシップが今も好きだ
GPZ900Rが
ZZR1100になって
10年前から
ずっとZX?12Rだ

一族郎党カワサキ好きだ


カワサキは初心者には優しくない
余程のブームが起こらない限り
原付とスクーターは作らない

カワサキは壊れやすい
FI化のお陰で
キャブ車ほどではないが
壊れやすいしオイルも漏れる
カワサキ車に慣れたころには
一人前の機械いじりの技術が身に付く

強くなければカワサキに乗れない
優しくなければカワサキを愛せない

カワサキは時代に逆らう
モトクロス専門でもないのに
125ccの公道仕様である
オフロードとデュアルパーパスを作るし

形だけ古い「自称レトロバイク」
を嘲笑うように
メグロの魂を受け継ぐ
Wシリーズを造り続ける

カワサキはバイクの存在そのものである
天衣無縫と温故知新を体現している


カワサキは時代を造る
レーサーレプリカが流行れば
ZEPHYRを造り
スクーターが流行れば
Ninja250Rを造った
そう俺の愛車だ

パラレルツインなのにNinja?
フルカウルなのにアップハン?
ZZR250と同じ化石みたいなエンジン?
それでいて馬力だけが、だだ下がり?

Ninja250Rを酷評するカワサキ乗りは多い
確かにガワは攻撃的だが
中身はマイルド過ぎると
俺は思う

しかしNinja250Rは
カワサキが
Ninjaが
フルカウルが
250ccで乗れる
カワサキが見せた初心者と貧乏人への情だ

本音を言えば大型が欲しいが
今の身の丈には
こいつが十分だし
ボチボチのスポーツ性能と
なかなかの乗り易さに
パラレルツインとは思えぬ
吹け上がりに満足している

いずれ俺は俺が望むのと
カワサキが望むよう
中免で終わらず
大型にも乗る

そのときの俺の愛車は
なんになっているのだろうか

ZやZEPHYRのような
渋い男の空冷ネイキッドも好きだし

ZXやZZRのような
Ninjaの名を受け継ぐ
スーパースポーツも好きだし

最新の技術で蘇る
Wも好きだし

ZX?9Rや初代ZX?10R
ZZR?1200みたいに
時代が追い付けなかった
隠れた名車も大好きだし

過激すぎる
ZX?12RやZXRも好きだし

起源にして頂点である
GPZ900Rも好きだし…

欲しいバイクを挙げたら
キリが無いが
大人になっても
おっさんになっても
じいさんになっても
一つだけ言えることは
俺は死ぬまでカワサキに
乗り続けるだろう

自転車に乗れるようになったばかりの
嬉々とした少年の心を
墓場に持って行くだろう


カワサキ乗り‥
それはカワサキに魅入られてしまった者
それはカワサキに憑り付かれてしまった者

長い人生で「カワサキ」という
一人の女性しか知らず
一人の女性しか愛さず
一人の女性に愛されながら
定まった信念を頼りに
定まらない場所を目指す者

バイクの免許を取った16歳の夏休み
あのときに俺の人生は決まった
スピードに酔いしれ
遠乗りを覚え
カワサキを愛し
カワサキに愛され
もう戻ることはできない
あの退屈だった15歳までの自分に

ありがとうカワサキ
ありがとうNinja250R
ありがとう未来の愛車

我はカワサキ乗り
自由と旅を愛する者なり


自由詩 let the good times roll. Copyright 一 二 2013-03-23 23:09:56
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