名のみの春
朧月

よく思われたいからか
肩がこる
からだに何枚も皮膚ができる

できもしないのに
できます
という顔をする
顔がこる

並んでしまう
ほしがっている
みんな という札の順番待ち

ぺらりとめくる
いちまい いちまい
脱いでしまえ
この朝に
冷たい朝に

寒さで指先が白くなったよと
祖母が手のひらをみせる

しわが集まったその手は
まぎれもない
祖母の手のひらだ

共に手に触れ合って
今日の温度を知る


自由詩 名のみの春 Copyright 朧月 2013-03-21 08:21:34
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