海の住人
みもる

何もかもくだらなく思えてきて
途方もない真っ直ぐな道を当てもなく歩き続けていた

しばらくすると海が見えてきて
老若男女が海辺や海に入って楽しくやっていた

誘い込まれたように
気がつくと海辺に立っていた

僕も海に入って楽しもうと思ったけど
想像以上に海の水温は冷たく たじろぐ

意を決して引き潮に合わせて足を踏み入れると
すんなり海に入ることができた

と思ったら
満ち潮にあっさり押し返されてしまう

どんなに頑張っても
進んでは戻され 進んでは戻されの繰り返し

やがて僕は疲れ果て
その場に立ち尽くす

あの子供たちは
どうやってあんな沖合いまで行ったのだろう

僕も子供のころは
あそこまで行って楽しめたはずなのに

今は海水が足元までの 海辺までしか進めない

立ち尽くしていると
知らない子供が不思議そうに笑顔で
うきわを貸してくれた

ムカついたけど
素直にうきわを使って進んでみることにする

ここに立ち止まっていても
何も始まらない

うきわを使うと
簡単に沖合いまで来ることができた

波に揺られながら 海辺のほうを眺めて
ああ、そういうことか と思いつく

困ったら 助けてもらばいいんだな
迷ったら 周りを見回せばいいんだな

海辺に戻って 暖かい砂浜に大の字に寝転がる
気分がよくなって もうどうでもよくなる

日が沈んだら
きっと誰かが起こしてくれるだろう


自由詩 海の住人 Copyright みもる 2004-12-26 04:05:05
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