曇ってて風が強い日の暴力
未満ちゃん
らーめん食べにいきたいっていうから、
らーめん食べにいきたくないって返したら
全力の平手で顔ひっぱたかれた、気がした。
ううわ、い、いたい痛いいたいじゃん。すごいなこいつおおばかか。気ですけど。
いやぜったい外寒いじゃん。なんなの。寒くても死にたくなんないのかな。
特になんないらしく、また全力の全力でひっぱたかれた。気です。気。
あーもうこういうのさ、『何の暴力』っていうんだろうね
わたしはおもいっきり腫れたふう、大げさに頬のあたりを手で覆って、ぼーっと、
天井の向こうのほうを透視、ころがっていた
ですのでわたし、いまちょっと忙しいんだけど。
ちなみにちょっとって、とってもってことです。
そのたった一言が気に障ったらしい。らしい、けど、気じゃない、
うっとうしいなー。じゃなくてなんだこれ、いえ、なにかしら、これ、
ああそっかわたしもまたべつの『何かの暴力』を振るったのね
そっかー、ふーん、そっかそっか。
まあ小首かしげて上目、顔でも覗いてごめんねだとか言ってみれば、
じきに回復するでしょうね。それっぽいおくすりだしておきます。
って肩上に浮かんだ名医のアドバイスにも耳を傾けず、わたしは、宙に浮かんだ。
ほらねやっぱり曇ってて風が強くて、なのに、そんなに寒くない
ねえだめだよね、こんな日に外を歩いたらさ
何かのせいにしていた感覚、本当はぜんぶ自分のものだって、
わかっちゃうし、つまり「電線に当たりそう、電線に当たりそうなんです。」
ああこれは、何のとかじゃなく表現の自由ってやつかもしれない。
え、じゃあ自由って電線に気を使うことなのかな? さあねー
ところで駅のほうにらーめん屋がいくつも見えるけどわたし、ぜったい行かないし