時計の鍵。
りぃ

私の時計はとうとう止まった
気づかず私は歩き続けた
同じところを歩いているのだと
気づいて
出口を探そうにも
そもそも入口の記憶すら無く
立ち尽くすその場所の名すら知らない

私の中にはもう何も無い
針を動かすための電池は旅立ち
長針も短針も秒針も黙ったまま
生まれ変わる準備?
それすらも無い

たどり着いた先
時間はまだ止まったまま
足元に転がる心臓を拾い上げた
手の中で自分の居場所を探す其れを
私は時計の中へ投げ入れた

何処にも出られなかった場所は消え
あっけなく目の前に出口の扉
開いたら日常に戻れた

鼓動を始めた心臓は何事も無く呼吸した
私は安堵の息を吐きながら

また
時の迷路に
迷い込む日を静かに待つ。





自由詩 時計の鍵。 Copyright りぃ 2004-12-26 03:54:25
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