War Cry
平瀬たかのり

 戦場は何も
 幾万の観衆が見守るフィールドばかりじゃ
 ないだろう、そうだろう
 日常こそが不規則なはずみを
 くりかえしているのなら
 叫べばいいと思うのだ、俺、俺、俺

 未来はきっと輝いているなどという
 はやり歌が聞こえてきたなら
 そいつをかき消すためにこそ叫べ
 叫びの中にしか潜まない明日が
 在り得るか否かを知るためにこそ
 叫べばいいと思うのだ、俺、俺、俺

 道を歩いていていきなり
 頭の中に埃がわき立つ
 近しいと勝手に思っているひとと話していてふいに
 のど奥がひりついて痛くなる
 そんなとき叫んではならないと
 誰が決めたのだいったい誰が決めた
 叫べばいいと思うのだ、俺、俺、俺

 叫ばない叫びはない叫ぶことはない叫ぼうとしない
 のか俺
 見なよゴールライン前
 屈強な、剛き毛の、荒ぶる男どもが
 次々と湯気たてて飛びこんでいく
 ドライビングモール
 ただあこがれたままでいるのか
 今日も

 今だ、叫べ 俺!


  



自由詩 War Cry Copyright 平瀬たかのり 2013-03-18 09:20:07
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