あなたにつけられた寝癖
凍湖(とおこ)

玄関であなたの手を握り
じっと、見つめて「じゃあね」って
言う。

そとは風で荒れ
そらはひっくり返ろうとしている。
世界は脱皮をしようとしている。

脱皮する春の皮膚へ
あなたを見送ったあと
お布団へもぐる。
あなたの体温をさがして。
すこしでも多く、証拠をこの部屋に留めて、いたくて。
朝食の食器も、このまま。

あなたは、「かれ」のひとりに会いにいったので
ひとり、寝癖をいじる。



自由詩 あなたにつけられた寝癖 Copyright 凍湖(とおこ) 2013-03-14 15:15:42
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