わたくしの小鳥
石瀬琳々

ことりことり、ないているのかうれしくてまたかなしくて冬の青ぞら


立ちつくす白い時間をせつなさは雪を見ている君の目に降る


窓とおく汽笛は過ぎてひかりのみ冬の手紙を燃やす夕べを


夢に泣いて目覚める日々の雨しずく永遠なんて知らなくていい


またぎる汽笛をのんでガラス窓思い出だけをさがす雪原


廃園の眠りのなかに光あり記憶の薔薇のうつくしく咲く


月の出を待つ砂浜を駆けてゆくまぼろし、春の静かなひづめ


ベルが鳴り、いつか飛び乗るはずの列車走り去りゆく風の往来


わたくしの小鳥を空に放してはまた拾う木霊やさしい明日あす




短歌 わたくしの小鳥 Copyright 石瀬琳々 2013-03-14 13:49:13
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薊道