追悼
小川 葉

 
 
わが家でも震災を追悼して、石油ストーブでカレー作らない?と妻に提案したら却下された。あの日食べたカレーは人生で一番うまかった。
11日当日の夜は、カップ焼きそばを、石油ストーブで温めた一人分のお湯を三人分使いまわして、最後のおれの焼きそばはぬるくてかたかったけど、世の中であれほどおいしいものはなかった。
祈りとか、かたくるしい追悼ではなくて、今生きている喜びを味わう、みたいな追悼の方が供養になるとは思うんだけど、そういうのはまだ早いかもしれないね。
でもいずれ、そんなふうになっていけばいいなと思う。
いただきます。追悼。
 
 


散文(批評随筆小説等) 追悼 Copyright 小川 葉 2013-03-11 21:30:51
notebook Home 戻る