草野春心



  毒は出ていった
  二階の部屋の窓から
  小さくてかたい何かが
  机にしまわれる音をのこして



  ゆうべの雨がつくった
  川になりきれぬ、ささやかな
  水の流れをわたってゆく
  一頭の小象になって



  きつく抱きしめるように
  泥がわたしの足を覆う
  今、
  輝いていない場所は
  この世界から消え失せた




自由詩Copyright 草野春心 2013-03-09 17:36:56
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