サーモスタット
umineko

さっきまで
うなりをあげてたヒーターが
お構いなしに突然黙る
きっと勤勉なセンサーは
こう告げたのだ

 もう十分
 暖かくなりました
 わたしの仕事はここまでです、と

寒々とした部屋の中で
短絡なヒーターを横目で見ながら
わたしは
愛のかたちについて考えている

間違ってはいなかった
どんな切なさも
踏み越えながら愛してきたのだ
だが
わたしの中のセンサーは
眠そうな目でつぶやいている

 もう十分
 愛してきました
 わたしの愛はここまでです
  
  
 



自由詩 サーモスタット Copyright umineko 2004-12-24 13:47:09
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