チルド
ねことら





たくさんのベランダは ひかってる
さかなの呼吸のようだと おもう
ひとすくい ひろって 
あきらめて 放す



ぼくらはヤドリギを しってた
ひりついた アゲハの細い肢
きみはマックス1000円の
サイゼリヤワンプレートも
はんぶんしか 食べられない
「いつか淡くなるための訓練」
フォークでなにもない 空間を差す
口に運ぶ ふりをして



ショットガンみたいなTVCM
アフラックは ガン保険を売りにしてる
きみはそれをしらないから
アヒルの人形 だけを
ほしいほしいと ねだる
そんなストラップがあるか わからないし
でも ふたりに気安い暗号があるのは
すてきだね



いつだってさびしいから
意味のない空席には
エモーショナルな想像を
終電は だるくて 細くて
折れそうな 時間をながれる
お墓みたいだ
ぼくらには少し ひろすぎる



かくはんされた 卵みたいに
気持ちわるい液 だしあうことが
気持ちいいこと なんだよね
罰ゲームみたいな話
だから きみと何回しても
埋めた穴を 掘り返すだけ



セオドア・ルーズベルトは
フランクリン・ルーズベルトの従兄で
橋やダムを つくったわけじゃないけど
最年少で大統領になった
42歳のことだった


ぼくたちはまだ 足してそれくらい
セブンのショコラケーキを
分け合って たべたり
アイポッド片耳で つないで
ふたりで ハモったり
だいじなこと だれかにおしえてほしくて
夜の沼にじっと めをこらす



ただいまーって きこえた気がして
おかえりーって とりあえずこたえる
控えめに ひかったあとは
電池が切れて おちていく
わらったまま


それでいい








自由詩 チルド Copyright ねことら 2013-02-24 14:16:59
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