その赤いくびわにすらなれない
オオカミ
確かだとおもってたものが
じつはすごくあやふやなことに気付いてしまった
彩るあの子の無垢なゆびになみだを
いったいなにを信じてきたの
翼もないのに空をとんでいるような
呼吸もできずに海の底へ沈んでいくような
あなたのほそい神経にすらつながっていない
正しさいがいのなにものでもないとおもっていた
疑う理由ができたわけじゃない
ただ凍えてしまいそうなあなたの前に立ち竦んで
わたしにはあたたかいものがないと知っただけ
わたしはなにももっていないと気付いただけ
つまさきから流れ出た たしかなものたち
あやふやなわたしには留めておけない
まっすぐ天に伸びるようなあなたがほんとうに大好きだった
その葉のいちまいにでもなれたなら
その爪のひとかけらにでもなれたなら
これほどたしかなことはないというのに