ドルフィン
オキ



岩場の陰で

ひとりの少女が

ドルフィンの頭を撫ぜていた

頭を撫ぜて貰ったドルフィンは

後ろにのけぞるような

反転をして

海に帰って行った

明朝もやって来るのだろうか

私は見なかった振りをして

岩の後ろを通り抜けて行った



四、五分して振り返ると

少女はまだ立っていた

二キロも沖で

きらっと海が光った

海に潜るという合図だったのだろうか

点のようになっていたドルフィンは

まったく見えなくなり

少女もそこを立ち去った






自由詩 ドルフィン Copyright オキ 2013-02-18 20:52:50
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