どうしても、ぼくには分からない
HAL

赤十字の理念は紛争や戦争の前線に於いても
独立と中立の姿勢を貫き助けを求める人を
平等に支援することだとされる

それは敵味方に別け隔たることはなく
傷ついた兵士も助けることだとも言う

しかし助けられた兵士はまた戦場に向い
また敵の兵士を撃ち殺すのだ
そこがぼくには分からないことなのだ

その赤十字の独立と中立の姿勢は
乱暴な意見は重々承知だけど
ただ兵士を助け戦争や紛争を
助長し長引かせることではないのかと
ぼくには想えてならないのだ

もし赤十字が武装をしていない
または戦場には戻れない兵士や民間人を
独立と中立の姿勢を以て
助けるならぼくは何も言わない

むしろ戦争地域や紛争地帯に武器も持たず
ただ巻き込まれる市井のひとびとだけを
救うなら立派な行為だと想うし正しいとも想う

しかし助けられた兵士は助けられた後に
また武器を持って戦地に戻ることを分かって
助けることはいったいそれが正しい行為なのか

独立・中立は却ってより多くの死者を生む
結果になるのではないかと想えてならない
そこがぼくが赤十字に抱く大きな疑問だし
ずっと考えてきてやはり答えが見つからない
分からないたったひとつのことなんだけれど

それはぼくが赤十字を理解する能力を持っていないということだろうか
もしかして善か悪か それとも善でもなく悪でもないことなのだろうか

でもその疑問を憶えてからぼくは赤十字への寄付をどうしてもできない


自由詩 どうしても、ぼくには分からない Copyright HAL 2013-02-17 18:39:34
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