投降命令
ただのみきや

無骨な魂の素描をさらしたあの頃 
恋は糖衣に包まれた苦い薬
駄々を捏ねても得られないものがあることを知り
喪服を脱げない大人になった

今 砂糖とミルクを入れてゆっくりとかきまぜる
あなたの白い手から
  視線は雲のようになめらかに上り 
               丘をなぞり 

  ”ムダナテイコウハヤメテコウフクシナサイ „

塹壕の中で震えながら ぼくは投降命令を聞いた
熱く甘いものに 今
あなたの唇がそっと触れて



 





自由詩 投降命令 Copyright ただのみきや 2013-02-17 01:16:32
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