ゴッホ 「カラスのいる麦畑」
yamadahifumi
僕の目の前に
ゴッホの「カラスのいる麦畑」の絵がある
それはまるで子供の描いた絵のように僕の前に掛かっているが
それは同時に子供には決して描けないものも含んでいる
それは嵐の前の晩のように
何かの予兆をはらんでいて
希望とも絶望ともつかない
二十世紀へ突入する現実を
映し出しているかのよう
僕の目の前に
ゴッホの「カラスのいる麦畑」の絵がある
それは人々がこの絵に対して無限に費やしてきたともいえる
沢山の言葉達をはねのけて
まるでまっさらな処女の少女のように
僕の目の前にこうして掛かっている
僕はそれを見て、一人でこうしてここで生きている
絵の奥に続く世界を
現実という拙劣な一枚の絵の中から
想像しながら