かみさまの枠組み
一尾

エーヨンくらいの大きさの白い画用紙に風景画を描きしたためる心理テストっていうのがあって風景構成法っていうんだけどせんせいが川を描きなさいよ田んぼを描きなさいよと言うままに適当に空白の上に絵を描いていく心的風景というものを晒しているのだろうかと描きながらどことなく不安になるけど色鉛筆でごりごり余白を潰していくという幼い作業がどこか楽しく後頭部をひやりと滑るような心配をひきずりながらも割と熱心になる
エーヨンの画用紙の淵にはせんせいがペンで引いてくれた枠がある画用紙の淵から五ミリくらいのところでさあって引かれた線でわたしの心がきちんと画用紙に収まるようにあとここまでは伸びていいんですよと訴え優しく包むために生まれている枠らしいこれがないと全く描けなくなってしまう人もいるらしく必ず対象者の目の前で引いてあげましょうねと解説の本に書いてあってへえってなった自分の伸びしろが限定されているというのは窮屈だけども例えば完全体でないものにとっては安らぎなのかもしれない





かみさまが
人間を作った時にもやはりひとつひとつの果てしのない空白のところに

ここ

から

ここ

まで

と言う風に適当に引いてくれた優しい枠組みみたいなものがあるんだろうかここまでの伸びしろを許すここまでなら愛してくれるという許容の優しさわたしたちの魂がふらふらとカーテンの糸くずみたいに迷子にならない範囲で上昇も下降もある程度の余白で区切られていてそれ以上はなくそれ故に許されたり可愛がられたりしているのだろうかとふいに思った




わたしに許されている伸びしろがはたしてどれくらいのものなのだろうかと
思うことは想像していた以上に
不愉快で
絶対かみさまはなまるテレビとか見ながら適当に引きよったわだっていちいちそういうのシンチョウにさばく能力とかなさそうだからと手触りで決めつけて





でもそんな枠組みがあるんだったら
もう誰にも許されたくないからすっかり燃やしてしまいたいとも思う


自由詩 かみさまの枠組み Copyright 一尾 2013-02-02 22:39:00
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