無言の空へ
ドクダミ五十号

空が何も言わなく成って

もう随分と時が流れた

雲が背中を見せて

流れ過ぎ去り

稜線に時折光が遊んでも


空の無い絵が貯まるに連れて

益々沈黙で地に押し付けられる


曙杉があの日

赤褐色にそびえて

それなりの散りゞを

風に舞わせても

何も聞き取れはしなかった


すっからかんの感性

こんな筈ではと

こめかみに爪を


山は描いたけれど

交わりを描けずに

筆先は稜線を彷徨う


声を聞かずに描けるか

失われの彼方の空よ

教えて欲しいのだ

碧から薄墨へと滲んでゆき

覆う事を専らとして居ずに


誤魔化しの一筆を加える前に


自由詩 無言の空へ Copyright ドクダミ五十号 2013-01-31 23:44:04
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