終着駅
草野春心



  終着駅まで眠っていた
  雪がこそこそ降っている
  
  
  
  汚い水のなかに
  ゲンゴロウは浮かんでいる
  だが、その正確な形状を
  ちっともしらない私だ



  駅員が切符にカチンと鋏をいれる
  まるで僧侶のような男だ
  終着駅
  一台のタクシーさえ停まっていない
  電灯が白々と痙攣している




自由詩 終着駅 Copyright 草野春心 2013-01-29 20:29:04
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短詩集