いつか忘れ去られるひと
HAL

海外で活躍するメジャーリーガーや
サッカー選手たちはいつも大きな注目を浴びる
でも それをまず為したのは 
商社を始めとする無名のサラリーマン諸兄だ

メディアはニュース・バリューがないので
取り上げもしなかったけれど
先陣を切って海を渡ったのは
無名のサラリーマンであったことは

いまもいることをこの国のひとびとはなにかが
起こらない限りこころを寄せることはない
でもぼくはずっと昔からそういうひとびとに
陰ながら喝采を贈りつづけてきた

少なくとも彼等には堂々と
そんな喝采や拍手を受ける資格が
厳然としてあると想う

例え 始めはエコノミック・アニマルという
罵倒の言葉でしか呼ばれなかったとしても
そう呼ばれることを受け入れ彼等は

海の向こうで慣れない慣習と
理解の困難な言葉を駆使して
己の責を会社のため家族のため 
そしてこの国のために全力を注いできた

そして昨日そんな彼等たちがテロによって
なんの罪も非も責もないのに殺された

数日後にはその出来事はメディアから消え
その心痛を憶えているのは家族たちと友人だけだと
確信と彼等への哀悼を抱いてぼくは想っている


自由詩 いつか忘れ去られるひと Copyright HAL 2013-01-22 19:04:46
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