カモメの朝
Lucy

今 この時に
私はあなたと同じ日暮れを
病んでいる

今 この時に
私はあなたと同じ孤独を
呼吸している

そしてもう二度と会うことはないあなたと
今まででいちばん
近いと感じている

海のかなたから
黒く寄せてくる
雪を孕んだ雲のこちらで
横殴りの朝陽が
かろうじて風にのるカモメの
白い腹を照らす

地吹雪が
哀しみを根こそぎまきあげて
コートのフードを煽っても
私はうつむいて
歩いてゆく

カモメよ おまえを妬んだりはしない
あまえたちに羽があるからといって
そのいずれもが若く自由で
ひらかれた未来へ向かい
力強く 羽ばたいているとは
限らないから

疲れきっているかもしれない
かすむ目を凝らしながら
骨の痛みに耐えながら
けんめいに翼をきしませているかもしれない カモメよ
上手く
風に乗れ

おまえの せいいっぱいの希いを
はばたけ




自由詩 カモメの朝 Copyright Lucy 2013-01-17 14:50:07
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