スコープテレスコープ
赤青黄

星が星としてきらめく一瞬を
空の向こう側へ向けられた
望遠鏡のレンズに映し出し
それを君の心の中の一角に押し込めば

波打たぬ心臓にある二つの弁の内
閉ざされた方が開くかもしれない

ということを今しがた知り

私は夢中で病院を飛び出し
流星が星空で屈折する、そんな夜を自転車で駆け抜けた

家の鍵をぶち壊し
部屋の押入れという押入れを隅々まで探し
買ったばかりの一丸レフのカメラを蹴り壊したことも構わずに

私はそれよりもっと大事なものを探していた


空が白みだしたころ
ようやく見つけ出した一つの箱を持ち
私は近くの高台に上り急いでそれを組み立てる


配達員がポストに新聞をポストに入れ始めたころ


ようやく全ての工程を終えた私は


あの紅い雨を降らす入道雲がこないようにと祈りつつ



お前と作った凸レンズを
天に向かって打ち上げた



自由詩 スコープテレスコープ Copyright 赤青黄 2013-01-13 02:34:39
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