僕はわかってる
竜門勇気


丁字の実はクローブっていって
食べ過ぎちゃだめ
朝のうちに起きてることはいいことで
夜のうちに寝ているのもいいこと

猫の舌の上は
空虚な集合だ
爪に挟まってた髪の毛を
誰かのポケットに滑りこませて

肺の中で
心が軋んですりへる
呼吸の間に星を見たんだ
こいつもついでに
誰かのポケットに忍びこませる

僕は多分わかってる
わかってるから
わかってるふりをしないだけ
でも誤解があったら謝るよ
僕はかつて盗んだ

頭の内側は鏡張り
損失の無い完全な反射鏡
その内側の外側から
起きる全てを受け入れて
今とか過去とかそんなものが
疾走する光の空間
宇宙よりほんの少し狭くて
世界よりわずかに大きい

光の中で影を見失う
光の中で泣き顔すら笑えない
もっともっと
もっと見失いたい
もっともっと
もっと静かになりたい

宇宙よりほんの少し狭くて
世界よりわずかに大きい
増幅する感情の非干渉光

光よりわずかに遅い方法で
心からは遠い場所で
誰かの答えを盗作しよう

僕は多分わかってる
わかってるから
わかってるふりをしてるだけ
この部屋にあるもの
光の部屋にあるもの
欲しかったらあげるから
持ってっていいよ
どうせ
最期には捨てるものだし

寂しいふりするけどけど
気にしないでいていて
生きてるふりしてるだけだけだから
階段までは追っかけるけど
また僕から奪いに来てくれるか
聞くかもしれないけど
それは嘘だから
とにかく気にしないで

僕はわかってる
わかってる
わかってるから大丈夫
傷つけた気がしても
けど も いて も だけ も
全部が嘘さ
うんざりしてた
面倒だったんだ

わかってる
もうなにがこれから起きるか
そのこれからに適当な名前をつけて
一緒に暮らすつもりさ だから
朝起きて夜は寝るよ
今度から だから

そのドアから出てった後は
外から鍵をかけておいてくれ
なんだか勝手に逃げ出しそうで怖いんだ
心のなかの
頭の中の大事なことが


自由詩 僕はわかってる Copyright 竜門勇気 2013-01-13 02:04:24
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