I love you
木屋 亞万
君を纏って眠る(君はいない)君の気配に包まれて
君は君の家に戻って、私も私の家に戻って
異なる日常で眠るのだから
身の回りにあるものの中で、今もまだ当たり前に存在し続けているもの
(とても少ない)
すべては当たり前を保てずに、そっと日常から消えた
いつまでも繰り返すような顔をして、日常はふと別人の表情をする
君とだって今は、日常的に会えるけれど
当たり前に会える日常は、いつまでも続く訳じゃないんだ
明日も(その明日もそのまた明日も)君と私は顔をあわせるけれど
いつかはなればなれになってしまう日が来る
電車に揺られていても、ごはんを食べていても、虚構の恋に心打たれても
私の頭の中は君で満ちていて、さらにあふれ出る君のこと
お風呂に入ったときに立ち込める水蒸気のように
君は丸裸の私を余すことなくしっとりと包み込む
寝ても覚めても、歩いても座っても、笑っても泣いても
君が、君は、君なら、君と、君って、君を、馬鹿の一つ覚えのように君
いつか当たり障りの無い君との日常さえ
脆くも崩れ落ちてしまって、遠く離れてしまうのならば
一分一秒でも側にいるため
君を強く確かに心に抱いておくために
私はもっと確実に君との日常を保ちたい
伝えることが告白ならば
逃げ出したい気持ちを押し込めて
一日の中で一番勇気の出る時に紡いだ言葉を集めて
君に
私の日常にいてください
と言おう