育てる事に疑問を持たない
ドクダミ五十号




 托卵と云う習性がありまして

無責任と人間の倫理からすれば思われる

然し

命の巡りとしては全うで

巣の兄弟を蹴り落としても

親は咎めたりしないのです


 どういう訳か

美しい声で深夜くらいに鳴きます

忍び音と称されるのですが

何を偲んで鳴くのでしょうか?


 所謂「捨て子」のわたくしには

勝手な妄想として罪の独白と聞こえるのです

何の罪かを述べるならば

無為の故の殺生と

純粋なる愛との相克としての

自然と申し上げます


 人間の知性など

遠く及ばずの天然のなせる技と問い

真冬にも関わらず初夏を思うは低脳の限り

生まれてしまった命と寛容が産み出す苦悩に似ている

そう云うふうに考える馬鹿が居ても

許される世界をもっと広くするべきなのだろう


 行動を助けてくれる人は多く居る

その方々に礼して奉るのである

今年も届いた無垢な命の精一杯の図画に

季節外れの鳴き音を漏らすのは自然であろう

批判が入り込む隙があるならどうぞ


自由詩 育てる事に疑問を持たない Copyright ドクダミ五十号 2012-12-30 21:10:26
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