時間の砂
……とある蛙

僕の時間の砂が
指の隙間から零(こぼ)れ落ちる
さらさらさらさらと
零(こぼ)れ落ちる。

そのまま風に吹かれて
失われてゆく
砂の想い出

人生の終わりまで
掴(つか)んでいたい想い出も
薄れてゆく山の端(は)まで
吹き飛ばされてゆく
さらさらさらさら
飛んでゆく。


僕は時間の砂を
詰め込む瓶を持っていない
だから毎日時間の砂を
零(こぼ)しながら生きている

せめて君との時間だけは
零(こぼ)すまいと思うのだが

君との時間の砂も
指の隙間から零(こぼ)れてゆく
さらさらさらさらと
零(こぼ)れてゆく。

そして
薄れてゆく山の端(は)まで
風に吹き飛ばされてゆく
さらさらと
さらさらと
想い出の砂


自由詩 時間の砂 Copyright ……とある蛙 2012-12-19 13:46:29
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