手のひら。
元親 ミッド

何もかも、失ってしまった。





そう思えてしまった時には

自分の手のひらを、そっと開いて見てほしい。





確かに、その手のひらには何もないけど、

だけどね、よーく見てごらん。

ほら、あるでしょ?





キミには、“何かができる、その手のひら”が。





何もかも、失ってしまったなんて

そんなのは、嘘っぱちだよ。





多くのものを失ってしまっても

大切なものを失ってしまっても

キミには、まだあるんだ。

“何かができる、その手のひら”が。





その手のひらをね、そっと胸にあててごらん。

キミの鼓動を感じるでしょう?

そうだよ。

キミは、生きているんだ。

全てを失ってしまったわけじゃない。





多くのものを失ってしまった時には

大切なものを失ってしまった時には

悲しくなったり

苦しくなったり

切なくなったりするけれど

その思いをどうか大事にしてほしい。





こぼれる涙が教えてくれる。

夜が明けたら、旅立っていくキミの道を。





何もかも、失ってしまった。





そう思えてしまった時には

自分の手のひらをそっと開いて見てほしい。

キミには、まだあるんだ。

“何かができる、その手のひら”が。


自由詩 手のひら。 Copyright 元親 ミッド 2012-12-18 21:15:28
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