特攻天女 
和田カマリ

ヤン女だったあたしは
14歳で同棲して
16歳で男の子を生んだ

旦那は時計も読めないけど
喧嘩上等!地元じゃ負け知らず
あたしたち親子水入らずで
結構ブイブイやってた

ところが
坊やが突然死!
目の前まっ暗
襲いかかる人の世の悲しみ
それからのあたし
ちょっと抜け殻だった

そんなある日
元半グレの住職に呼び出され
坊やの分も頑張れって
グーで思いっきり殴られた
闘魂注入されたあたしは
人の役にたたなきゃって
勉強することに決めたの

18歳で夜間高校に入学
学校なんて久々だったから
右も左も分からずに超苦戦
だけど働き始めた彼も
ずっとサポートしてくれたし
なによりあたし
死んだ坊やの誇りの為に
歯を食い縛って必死にやり抜いた

高校卒業と同時に
看護学校の試験にチャレンジ
一年目はお話にならなかったけど
二年目に一次試験に合格した
うれしくてうれしくて
世の中の苦しんでいる人の為に
この人生を捧げるつもりって
坊やの墓前に心から誓った

二次試験(面接)の前日の夜
居酒屋で昔の仲間が祝ってくれた
とても良い気持ちだった
よせばいいのに
調子に乗りすぎたあたし
族の頃の癖が出て
無免許飲酒で電柱に衝突
警察に拘留されてしまった

おかげで翌日の試験はパー
酒は気違い水って・・・
ホントよく言ったわ
あたし悔しくて情けなくて
拘置所で吼えまくってた
また振り出しに戻ったみたい

人生色々って歌う人がいた
今回の事も勉強だったと
いつか思える日も来るだろう
どうせ仏滅に生まれたあたし
こんな事などあって当然

くよくよしてても仕方ない
坊やとの約束を果たさなきゃ
あたしは久しぶりに
タバコの先を手の甲に当て
グイグイと根性焼きを入れた
焼肉の匂いが鼻を刺した

さあ
気合もバッチリ入ったし
また一歩踏み出さなきゃ
あたしはいつだって
レディースの斬り込み隊長
伝説の特攻天女なのだから






自由詩 特攻天女  Copyright 和田カマリ 2012-12-13 15:34:53
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