文字は繋がる
まーつん
君はテーブルに頬杖をついて
文字の積み木で遊んでいる
利き腕の人差し指で
柔らかい母音を
戯れに曲げながら
暗い藍の色で出来た゛う ゛の文字は
うつむいた気持ちの音
明るい朱の色に固まった゛あ ゛の文字は
開かれた気持ちの音
遊び相手に合わせて
君の表情も変化する
朗らかになったり
憂鬱になったり
子音達は小さな野生馬のように
ヒノキの天板の上を
こちゃこちゃと駆け回っている
若草色をした゛さ゛ の文字
大理石の色をした゛し ゛の文字
雄の子音たちはみな
雌の母音たちを奪い合っている
彼女たちと 睦みあいたいのだ
君は幼い手で ぱっとその顔を覆った
゛いやーん゛と言いながら
おかっぱ頭を左右に
いやいや、と振る
文字たちが
互いに つながり始めていた
あられもない姿態で