火のない部屋
はるな


火のない部屋のなかに
あなたをさがしている
茶色く終わった時間がころがっている

あの日
海には
六羽の白いからすが
まるく座っていたそうだ

傷口は凍るので
わたしたちはまだ生きている
やわらかな治癒を拒否しながら
わたしたちは

きょう
六羽の白いからすは
あの日のからすに続くように
海べにまるく集まりはじめる

濁った目で
けんめいに それら を
忘れよう


わたしたちが力尽きるころ
か細い声は壁から聞こえる
壁紙を剥いでゆくと
あなたがあらわれはじめる
みじめに乾いて、かすれたすがたを
海へつれださなければならない
からすたちを
導かなければならない



自由詩 火のない部屋 Copyright はるな 2012-12-10 19:13:58
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