火のない部屋
はるな
火のない部屋のなかに
あなたをさがしている
茶色く終わった時間がころがっている
あの日
海には
六羽の白いからすが
まるく座っていたそうだ
傷口は凍るので
わたしたちはまだ生きている
やわらかな治癒を拒否しながら
わたしたちは
きょう
六羽の白いからすは
あの日のからすに続くように
海べにまるく集まりはじめる
濁った目で
けんめいに それら を
忘れよう
と
わたしたちが力尽きるころ
か細い声は壁から聞こえる
壁紙を剥いでゆくと
あなたがあらわれはじめる
みじめに乾いて、かすれたすがたを
海へつれださなければならない
からすたちを
導かなければならない