カイト
鈴置友也

寒風ふきつける新年のころ
子どもは白いカイトをあげた。
冷たくはしる急斜へつよく
糸はするどく牽引する
指はきつく締めつけられ
羽根は烈風に呑まれ舞い散る。

こめかみを撃つ固い痛みが
今日わたしの胸よりはじけた。
みよ空の鮮新たる結晶
たかく上昇する蒼穹のひろがりを。

今こそカイトをあげよう
力強く空を切るあのわかいひらめきを、
はりつめた空を垂直に滑空する
清新な大気にはためく白いからだを。

すべらかに走りゆく強き力のながれが
今わたしの肩に釣りあう。
糸を引く頑丈な力が
なんとわたしを魅了することだろう

緊迫の結晶した大気に
その白いカイトがはしる、
つめたくはりつめた純粋の白さではしる。


自由詩 カイト Copyright 鈴置友也 2012-12-09 11:59:01
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