化の粧
夏美かをる

己が一番美しい時に
化粧を覚えた少女は
素の顔を誰にも見せぬまま
女となり
老女となり
やがて
横たわる冷たい屍となる

その顔に
再び恭しく施される
化の粧

唇に置かれた紅は
貫き通した女の性が放つ残光
消えゆく寸前に
いっそう艶めかしく輝く


自由詩 化の粧 Copyright 夏美かをる 2012-12-08 03:28:41
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